「ホルムズ海峡 はどこの国のもの?」と、ニュースを見て疑問に思うことはありませんか。
中東の遠い海の話に聞こえますが、実は私たちの生活に直結する大問題なのです。
「ホルムズ海峡 はどこの国のものなのか」、その仕組みを知るだけで、ガソリン代や電気代がなぜ上がるのかが見えてきます。
この記事では、「ホルムズ海峡 はどこの国のもの」なのか、わかりやすく解説します。
ホルムズ海峡はどこの国のもの?結論は「2つの国の領海」

- 北側はイラン、南側はオマーンの領海に属している
- なぜ「誰のものでもない海(公海)」が存在しないのか?
- 海峡の幅(約39km)と領海12海里ルールの関係
北側はイラン、南側はオマーンの領海に属している

結論からお伝えすると、ホルムズ海峡は北のイランと南のオマーンという「2つの国の領海」に分かれています。
なぜなら、海は沿岸から一定の距離までが「自分の国の海(領海)」であると、国際的なルールで決まっているからです。
具体例として地図を見ると、ペルシャ湾の出口にあるこの細い海峡を、イランとオマーンが上下で挟み込むような形になっています。
どちらか一つの国が丸ごと所有しているわけではなく、海の真ん中に境界線を引いて、半分ずつ分け合っているイメージですね。
なぜ「誰のものでもない海(公海)」が存在しないのか?

海峡全体が領海になってしまうのは、海峡の幅が狭すぎて両国の領海がぶつかってしまうからです。
国際法では、沿岸から最大12海里(約22.2キロ)までを自国の領海として主張できる決まりになっていますが、ここにはその余裕がありません。
たとえば、両方の国がそれぞれ22キロの領海を主張すると、合計で44キロの幅が必要です。
しかし、実際の海峡はもっと狭いため、「誰のものでもない公海」と呼ばれる自由な海の隙間が、完全に消滅してしまうというわけです。
海峡の幅(約39km)と領海12海里ルールの関係

最も狭い部分の幅が約39キロしかないため、12海里ルールを当てはめると海全体が領海で埋め尽くされてしまいます。
簡単に言うと、22キロ足す22キロで44キロ必要になるところ、実際の幅である39キロをオーバーしてしまうからです。
そのため、真ん中に中間線を引き、北側をイラン、南側の飛び地をオマーンの領海としてきっちり分割しています。このように、地理的な狭さが「公海ゼロ」という特殊な状況を生み出しているのです。
ホルムズ海峡の場所と「誰のものか」が重要な理由

- 中東の出口を握る「世界のチョークポイント」
- なぜ他国はこの海峡を「国際海峡」と呼ぶのか
- 国連海洋法条約(UNCLOS)における通過通航権とは
中東の出口を握る「世界のチョークポイント」
この海峡は、中東で採れた石油を世界中に運ぶための「唯一の出口」であり、非常に重要な場所です。
アラビア半島とイランに囲まれたペルシャ湾から、広い外洋へ船が出るには、絶対にここを通らなければならないからです。
人間の首を絞められると息ができないのと同じように、ここが塞がれてしまうと世界のエネルギー供給がパタリと止まってしまいます。
そのため、戦略的に極めて重要な「チョークポイント(急所)」と呼ばれて、世界中から警戒されているのです。
なぜ他国はこの海峡を「国際海峡」と呼ぶのか
他国がここを国際海峡と呼ぶのは、世界中の船が通る必要があり、特別なルールが適用されるべき海だからです。
特定の国の領海であっても、そこが国際的な交通の要所である場合は、他国の船が自由に通行する権利を認める必要があるためです。
「ここは私の家の庭(領海)だから勝手に通るな」とは言えず、誰もが通れる公道のような役割が求められます。だからこそ、イランやオマーンだけの問題ではなく、世界全体が注目して干渉してくるわけですね。
国連海洋法条約(UNCLOS)における通過通航権とは
通過通航権とは、他国の領海であっても、船や飛行機が立ち止まらずに素早く通り過ぎる権利のことです。
これは、国際航行の安全と自由を守るために、国連のルールで特別に保障されている強い権利だからです。
たとえば、外国の潜水艦が海中に潜ったままこっそり通過することも認められており、沿岸国が勝手に通行を止めることはできません。
国際海峡については別記事で解説していますので、気になる方はそちらも参考にしてみてください。
なぜイランだけが目立つ?海峡支配力が強い「3つの物理的理由」

- 水深の問題:巨大タンカーはイラン側を通らざるを得ない
- イランが実効支配する「3つの島」の存在
- 船舶の交通整理(TSS)を監視しやすい地形的優位性
1. 水深の問題:巨大タンカーはイラン側を通らざるを得ない

原油を運ぶ巨大な船は、どうしても水深が深いイラン側を通るしかないのが実情です。
タンカーは非常に重く、浅瀬を通ると船底が海底にぶつかって大事故(座礁)を起こしてしまう危険があるためです。
満載時の超大型タンカーは、ビルの7階建てほどの深さ(約20メートル)が水面下に沈みます。
南のオマーン側は浅くて岩礁が多いため、安全な深い航路がある北側のイラン領海内を、物理的に通らざるを得ない構造になっているのです。
2. イランが実効支配する「3つの島」の存在

海峡の出口付近にある3つの島をイランが軍事拠点化しているため、圧倒的な影響力を持っています。
これらの島から海峡全体を見渡すことができ、ミサイルやレーダーを配備するのに絶好の場所だからです。
アブ・ムーサ島など、イランが「沈まない空母」として要塞化している島々があります。
ここから海峡を通るすべての船を射程圏内に収めているため、イランの意向を無視して安全に航行することは事実上不可能な状態に陥っていると言えます。
3. 船舶の交通整理(TSS)を監視しやすい地形的優位性

イランは、船の衝突を防ぐための「海の右側通行ルール」を利用して、監視の目を光らせています。
ルール通りに航行しようとすると、船が必然的にイランの監視網のすぐ近くを通る仕組みになっているからです。
交通整理の名目で、イラン革命防衛隊が日常的に船へ無線で呼びかけたり、接近したりしています。
地形的にイラン側から見晴らしが良いため、「いつでも実力行使できるぞ」というプレッシャーを与えやすい状況なのです。
オマーン側を通って逃げられないの?南側のルートが使えないワケ

- オマーン領海内の水深と岩礁の危険性
- 分離通航帯(TSS)という「海の右側通行」ルール
- イラン革命防衛隊がオマーン側まで展開している現状(2026年情勢)
オマーン領海内の水深と岩礁の危険性
南側のオマーン領海は、大型船が安全に通れるような地理的な条件を満たしていません。
水深が浅いうえに、海面からは見えない岩礁が無数に点在しており、座礁のリスクが極めて高いためです。
小型の漁船なら問題ありませんが、何十万トンもの原油を積んだタンカーが通れば、大惨事につながりかねません。そのため、イランの干渉を嫌がってオマーン側に逃げたくても、物理的に無理だというのが現実です。
分離通航帯(TSS)という「海の右側通行」ルール
国際的な交通ルールを守ろうとすると、オマーン側だけを一方通行で使うことはできません。
海峡では船の衝突を防ぐため、ペルシャ湾に入る船は北側(イラン寄り)、出る船は南側(オマーン寄り)を通る決まりがあるからです。
道路の右側通行と同じように、海底の深い場所に合わせて航路が設定されています。結果として、どうしても出入りどちらかのタイミングで、イランの領海やそのすぐそばを通過しなければならない仕組みになっています。
イラン革命防衛隊がオマーン側まで展開している現状(2026年情勢)
現在、イランの軍事的な影響力はオマーン側の海域にまで及んでおり、事実上逃げ場はありません。
イランが強力な軍事力を背景に、自国の領海を越えて海峡全域での実効的な監視体制を強化しているためです。
たとえば、オマーンの領海内を航行している船であっても、イラン革命防衛隊の高速艇が接近してくるケースが起きています。南側を通れば安全というわけではなく、海峡全体が実質的にイランのコントロール下にあるのです。
イランが主張する「通行料」や「封鎖」は国際法上どうなの?

- イランは「国連海洋法条約」を批准していない?
- 「無害通航権」を盾にするイラン独自の法的解釈
- 国際社会(日本・アメリカ等)が「違法」と訴える根拠
- 2026年4月の「通行料要求」に対する各国の反応
イランは「国連海洋法条約」を批准していない?
実はイランは、現在の海の国際ルールである「国連海洋法条約」を正式に結んでいません。
条約に署名まではしたものの、国内での最終的な承認(批准)を行っていない状態だからです。
そのためイランは「自国にはこの新しいルールは適用されず、昔のルールのままで良い」という独自の立場をとっています。
これが他国との認識の大きなズレを生み、海峡をめぐるトラブルの根本的な原因の一つとなっています。
「無害通航権」を盾にするイラン独自の法的解釈
イランは「自分たちに害がない船だけ通してやる」という強気な解釈を主張しています。
新しい「通過通航権」ではなく、古いルールの「無害通航権」という権利だけが適用されると考えているからです。
無害通航権の場合、沿岸国が「この船は安全保障上の脅威だ」と判断すれば、通行をストップさせることができます。
イランはこの解釈を盾にして、気に入らない国の船を締め出そうとする強硬姿勢を見せることがあるのです。
国際社会(日本・アメリカ等)が「違法」と訴える根拠
日本やアメリカは、ホルムズ海峡は誰もが自由に通過できる国際海峡であるため、イランの妨害は違法だと主張しています。
国際的な慣習として、すべての船の「通過通航権」は絶対に守られなければならないという共通認識があるからです。
イランが条約を批准していなくても、長年の国際社会の常識として自由な通行は保障されるべきだと考えています。国際法上の違法性については別記事で解説していますので、さらに詳しく知りたい方はチェックしてみてください。
2026年4月の「通行料要求」に対する各国の反応
イランが船の通行料を要求したことに対し、国際社会の対応は大きく二つに割れてしまいました。
ルール違反だと強く反発する国がある一方で、船の安全を優先してやむを得ず支払う国も出たためです。
アメリカは強く反発し報復措置をとりましたが、一部の国の船主はリスクを避けて支払いに応じました。そんな中、日本のタンカーは通行料を払わずに無事通過しており、外交努力の成果として大きな注目を集めました。
私たちの生活への影響は?ホルムズ海峡が封鎖された時のリスク

- ガソリン価格・電気代の爆上がりは避けられない
- 食料品やプラスチック製品が値上げされるメカニズム
- 日本に届く原油の「8割〜9割」がこの海峡を通っている
- 代替ルート(パイプライン)はどれくらい機能するのか
ガソリン価格・電気代の爆上がりは避けられない

海峡が封鎖されると、日本のガソリン代や電気代は一気に跳ね上がってしまいます。
日本で使うエネルギーの大部分を、この海峡を通って運ばれてくる中東の原油や天然ガスに頼り切っているからです。
もし供給が止まれば、あっという間に燃料不足に陥ります。実際に有事の際には、政府の補助金がなければガソリンが1リットル200円を大きく超えるような事態になり、私たちの家計を容赦なく直撃するリスクを抱えています。
食料品やプラスチック製品が値上げされるメカニズム

原油が届かないと、スーパーの食品や日用品の価格も連鎖的に上がってしまいます。
原油から作られる「ナフサ」が不足し、プラスチックなどの包装資材や物流コストが高騰するからです。
このように、あらゆる物の値段がドミノ倒しのように高くなってしまうメカニズムがあるのです。
日本に届く原油の「8割〜9割」がこの海峡を通っている

日本のエネルギーの命綱は、ほぼ完全にこの一本の海路に握られている状態です。
日本の原油輸入先は、サウジアラビアやUAEといった中東地域に極端に偏っているからです。
毎日使う電気や車のガソリンの元となる原油の80%〜90%が、この狭い海峡を通過して日本にやってきます。ここが通れなくなるということは、日本のエネルギーの蛇口が突然キュッと閉められてしまうことを意味しています。
代替ルート(パイプライン)はどれくらい機能するのか
海峡を通らない別のルートもありますが、日本を救うには全く量が足りません。
陸上のパイプラインで運べる石油の量は、船で運ぶ量に比べて圧倒的に少ないからです。
中東から海峡を迂回するパイプラインをフル稼働させても、海峡を通っていた量の4分の1程度しかカバーできません。
天然ガスに至ってはパイプラインでの代替が難しいため、結局はホルムズ海峡の安全に頼るしかないのが現実です。
まとめ:ホルムズ海峡の所有権を知ればニュースがよくわかる

- 海峡は「共有物」だが実態は「イランの門番」状態
- 私たちが今すぐできる「エネルギー自衛策」とは
海峡は「共有物」だが実態は「イランの門番」状態
法的にはイランとオマーンで半分ずつに分かれていますが、実質的にはイランが海峡を支配しています。
水深の問題や軍事的な優位性から、イランの意向を完全に無視して船が通ることは不可能だからです。
地図上では2つの国の領海ですが、現実にはイランが通行の鍵を握る「門番」として立ちはだかっています。この地理的・物理的な力関係を理解すると、中東のニュースがなぜこれほど日本で大きく報じられるのかが腑に落ちるはずです。
私たちが今すぐできる「エネルギー自衛策」とは
国や世界の動きを待つだけでなく、私たち自身の生活でもエネルギーへの対策を始めることが大切です。
中東の情勢はいつ悪化するかわからず、電気代などの高騰から家計を自分たちで守る必要があるからです。
日常的な節電はもちろんですが、電気代高騰の対策が気になる人はこちらも参考にしてください。少しずつエネルギーを自給・節約する仕組みを取り入れることが、一番の防衛策になるかもしれません。
- ホルムズ海峡はイランとオマーンの領海で構成されている
- 最も狭い部分は約39kmしかなく公海(誰のものでもない海)が存在しない
- 原油を運ぶ巨大タンカーは水深の深いイラン側を通る必要がある
- イランは海峡付近の島を実効支配し軍事的な優位性を持っている
- 海峡は世界のエネルギー供給を担う重要なチョークポイントである
- 南側のオマーンルートは浅くて岩礁が多く大型船は通れない
- イランは「通過通航権」を認めず独自の通航ルールを主張している
- 日本の原油輸入の8割〜9割がこの海峡に依存している
- 海峡が封鎖されるとガソリン代や電気代の急騰は避けられない
- 原油由来のナフサ不足によりプラスチックや食料品も値上げされる
- 代替のパイプラインルートだけでは圧倒的に輸送量が足りない
- まずは自宅の家電の使い方を見直し、日々の節電を心がけよう
- 国の補助金制度を活用して断熱窓や省エネ家電への買い替えを検討しよう
- 電気代上昇のリスクに備え、自家消費型の太陽光発電も選択肢に入れよう
